ヨガ womens

パニック障害がきっかけでヨガに出合った元バレエダンサー  生きることがラクになった2つの学び【ヨガで人生が変わった】

紅音さん長年クラシックバレエを続けてきた紅音さん。パニック障害を発症し、舞台に立てなくなったことをきっかけにたどりついたのが、マット1枚分のスペースでできるヨガだった。

【写真】紅音さんのバレエダンサー時代と美しいアーサナ

パニック障害から俳優を引退

私は4歳からクラシックバレエを続けてきました。2019年には、劇団四季研究所に俳優として所属し、ステージに立つ日々を過ごしてきました。ところが、22年夏に脳貧血からくる不安感をきっかけに、パニック障害を発症。舞台に立てなくなってしまったのです。

一度は、日常生活を取り戻すため治療に専念したのですが、私はやはり身体を動かすことが大好きなんですね。だからジッとして過ごすだけでなく、何かしたいなと考えるようになりました。

とはいえ、いつ発作が起こるかわからない状況下でひとりでバレエレッスンに行くわけにもいかず……。バーレッスンを繰り返すだけでは物足りず……。何か、ほかに家のなかでできることはないかと探して出合ったのが、マット1枚分のスペースでできるヨガでした。

はじめは身体を動かすことだけを目的としていたので、ヨガ=運動という感覚でした。ほんの少しの時間だったとしても、全身をしっかりと動かすことができることがとてもいいなと、どんどん魅了されていきました。少しずつ意識が変わったのは学びを深めていく過程でヨガ哲学に触れたところから、です。

私を変えた、ヨガ哲学

私には良くも悪くも感情が豊かで、揺らぎやすい面があります。そんな自分に疲れてしまうこともあったのですが、ヨガ哲学に触れたことから自分で自分をコントロールできるようになっていきました。

心に残っているものはいくつもあるのですが、特に強く響いたのは「状態や環境・感情は常に変わるもの」「何が起こっても、自分という存在は変わらない」といった学びです。俳優を引退したことで、幼少期からそうすることが当たり前だった舞台人生に幕を下ろすこととなったわけですが、気持ちのどこかでずっと「舞台に立たない私は、私ではない」と感じていたようです。

この学びを得てから「舞台に立たなくても、私は私」と考えられるようになりました。正直、本当に生きるのがラクになったんです。パニック障害を発症する前の自分に対する必要以上の執着が消えて、症状の緩和をはかりながらうまく付き合っていけるように、ライフスタイルを変えていきました。

伝統や型を重んじるバレエの世界にあまりに没入しすぎて「べき・ねば」の思考が強い傾向にあった私を、ヨガが大きく変えてくれたと感じています。「これでなければいけない」から「これもいいし、あれもいい」と、ヨガを深めるごとに自分のマインドがどんどんオープンになっていくのを感じたのです。

ヨガは誰かに見せるものではない

そのような心境の変化を経て、私も同じような苦しさを抱えている人へヨガを伝えられるようになりたいと考え、23年にインストラクターの資格を取りました。現在はオンラインでレッスンを担当しています。

実はヨガを始めた当初、私は人前に立って踊るという習性からポーズを誰よりも綺麗にとらなければいけないという意識が働いていました。オンラインレッスンなので、本当に誰も見ていないはずなのに……です(笑)。でも、当たり前ですがヨガは誰かに見てもらうためのステージパフォーマンスではありません。自分自身の身体と心と向き合ってそれぞれの声を拾い上げる時間です。

同じポーズをしていても、その日の気候やホルモンバランス、昨日の出来事などによって得られる感覚は全然変わってきます。レッスンを通して、その時々の変化を味わいつつ、一昨日とも昨日とも、そしてきっと明日とも状態は違うけれども「私という存在はいつでも変わらない」という気づきを得て、参加者の皆さんが毎日を大切に過ごしていけるようお手伝いができたら嬉しいなと思って活動しています。

今後はより幅広く女性美を追求

また現在は、新たに骨格改善メソッドの勉強を進めています。ヨガとの掛け合わせで心と身体を名実ともに美しく整えていくためのレッスンを構築していきたいと考えて、準備をしているところです。

インストラクターとして、ヨガを通じて自分自身を知り、骨格へのアプローチをプラスすることで、一人でも多くの女性が心も身体も健やかになっていくことのサポートをしていけたら、と思っています。

次ページ:紅音さんのバレエダンサー時代と美しいアーサナ

取材:鈴木彩乃 撮影:中原義史 写真提供:紅音

次のページへ >


-ヨガ, womens
-,