マッスルゲート大阪大会、女子のカテゴリーはウーマンズレギンスフィットネス158cm以下級のピックアップ審査から始まった。選手入場が始まった瞬間、姿勢よく、ひときわ輝く笑顔の選手が目に入った。鮫島理恵(さめじま・りえ/59)さんだ。「今、本当に楽しくて仕方がない」と笑う鮫島さんの話を聞いた。
小学生のころから運動神経が良く、バスケットボールや陸上、フィールドホッケーなどに取り組んでいた鮫島さん。20代のころはエアロビクスの流行に乗り、インストラクターをしていたが、その後は仕事、出産などで特にスポーツと関わることはなかったそうだ。
1回目の転機は宇都宮にゴールドジムができたこと。「ちょうど高校生になった子どもの塾の送り迎えの合間にジムに通うようになりました。今から16年前ですね」
しかし、当時の鮫島さんは、太りたくなくてダラダラ有酸素をするだけだったという。
2回目の転機は昨年12月。88歳になる母親に「懸垂を10回できるようになる」という約束をしたことだった。懸垂ができるようになるには筋トレが必要。経営していた会社の売却も決まり、時間もできた。
12月から一生懸命トレーニングするようになり、1月からジムで週一回パーソナルトレーニングを受け始めると身体つきが変わってきた。
「自分だけだとなかなか追い込めないけれど、パーソナルでは細かい筋肉にどう効かせるかを私のフォームを見て指導していただけます。自分でやるのと違いを感じます」
そんな鮫島さんの変化を周りも放っておかなかった。「ジムの会員さんたちに『大会に出たほうがいいよ』と声をかけられるようになって、その気になりました」
2月からは同じ地元のJBBFビキニフィットネスのトップ選手、小倉あれず選手のポージングレッスンを受けるようになり、ジムで時々会うボディフィットネスの齋藤優子選手からもアドバイスをもらうようになった。
「周りの方たちに恵まれ、環境が良かったんです」
鮫島さんは謙虚に言うが、やる気満々で熱心にトレーニングしている姿を見ると、周りの人も自然に応援したくなるのだろう。
「それまでは太りたくないという一心で、体型を維持するだけでした。今は筋トレをしている周りの方たちが、私の身体に変化があると声かけてくれます。『三角筋がこうなった』とか、『背中がすごいことになっているよ』って。すると、ますます楽しくなります」
鮫島さんは初出場の今大会、ウーマンズレギンス50歳超級2位、ウーマンズレギンスフィットネス158cm以下級で3位の好成績を収めた。
次戦の予定も決まっている。大阪大会での経験をふまえ、一段と輝く笑顔と身体でステージに登場するに違いない。
取材:あまのともこ 撮影:上村倫代